ナゴルノ・カラバフ共和国は、アゼルバイジャン西部にある地域。
↓大体この辺。
アルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ共和国)とは?
この地は長年アルメニアとアゼルバイジャンで取り合っていて、現在は事実上アゼルバイジャンの領土となっているが、実際入国出来るのはアルメニア側からとなっている何ともややこしい場所。
(2016年6月現在)
流通している通貨もアルメニアドラム。
が、地図上で表示されるのはアゼルバイジャン。
この地はアルメニア人が多いため、カラバフとしてはアルメニアに属したいものの、アゼルバイジャンがそれを認めないこともあって、頻繁に紛争が勃発。
1923年7月7日にアゼルバイジャン内の自治州として、ナゴルノ・カラバフ自治州が設置された。
しかしその後もアルメニアとアゼルバイジャンの衝突は終わらず、ナゴルノ・カラバフ戦争にまで発展。
ソ連崩壊後、ナゴルノ・カラバフ自治州は「アルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ共和国)」として1991年9月2日に独立宣言を発した。
ただそれを国家として認めているのは、アブハジア・沿ドスニエル等、近隣の未承認国家のみ。
未承認国家が未承認国家を認めているということで、まぁ実際国際的には国としては認められていないことになる。
この周辺はこういった国際的に認められていない独立国が多く、お互いがんばろうぜ!ということなのか未承認国家同士で国として認め合っている場合が多いのだ。
以前行ったオーストラリアにある「ハットリバー公国」以来、2つ目の未承認国家の訪問!(まぁ実際台湾も未承認国家なんだけど)
先に書いておきますが、この土地は今年(2016年4月)にも両国間で武力衝突が起こり、双方に死者が出ています。
現在は停戦状態にあるものの、外務省の海外安全ホームページでは「レベル3:渡航中止勧告」になっていて、アゼルバイジャン側の国境地帯は外国人が入れない場所もある。
かつて紛争地帯だっただけに、廃墟好きがよだれを垂らす「アグダム」という場所もあるが、情報ノートによるとそこに行こうとして拘束・暴行を受けた外国人もいるとのこと。(この町は現在外国人立ち入り禁止になっている)
そんな場所へ行かない限りそんなことにはならないだろうけど、全ては「自己責任」で。
実際ジョージア、アルメニアで情報収集をすると首都付近は治安も良く簡単に行け、先に行った人に何人も会うことができた。
が、みんな口を揃えて言うのは「行っても何にも無いよ」。
宿も安くないし見所も無いもんだから、大体みんな1泊だけしてアルメニアに戻って来ている。
しかしB級スポット好きの私にとっては、こここそアルメニアの一番の観光ハイライト。
ここに来るためにアルメニアに来たと言っても過言ではない。
大体みんなが「何も無い場所」という所には、B級好きが好む「変なもの」があることが多いので、これはもう行く前から期待出来るのである!
いざ!アゼルバイジャン・ゴリスからアルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ共和国)へ
ゴリスからはマルシュルートカ(ミニバス)でナゴルノカラバフの首都「ステパナケルト(Stepanakert)」へ。
事前に調べた情報では10時半発ということだったけど少し早めに10時くらいに行くと、10時過ぎにマルシュが来て結局出発したのは11時前だった。
出発40分後に国境(チェックポイント)に到着。
パスポートを提示してビザ申請所の住所が書いた紙と、書類をもらい、本日中に滞在登録(ビザ取得)するように言われる。
カラバフのビザは事前にエレバンでも取れるけど、入国した後にビザ申請所で取ることも可能。
左がアルメニア、右がナゴルノカラバフの国旗。カラバフのには白い模様が入っているだけで、ほとんど変わらない。
ゴリスを出て約2時間半でステパナケルトのバスターミナルに到着。
カラバフの首都(?)ステパナケルトのノープロブレムおやじの宿
宿の目星はつけていたものの、もしバスターミナルに「あの人」がいたらその宿に行こうと決めていた。
マルシュ(ミニバス)を降りようとした時、群がるタクシーや宿の客引きに混じって何やら怪しげな紙を持って「ホテル~?」と聞いてくるおやじがいた。
おやじ「ヤポーン?キターイ?(日本?中国?)」
私「ヤポーニャ(日本人だよ)」
おやじ「ノープロブレム!!」
いたー!!!
おやじの持っている紙にはかつてそこに泊まった日本人が「この宿はいい宿です」的なことが書かれてあった。
こういうものを持ってる人物は大体怪しいので、普段なら絶対について行かないのだけど、今回は違う。
このおやじはカラバフの宿をネットで調べると必ず出てくるある意味有名人な「ノープロブレムおやじ」。
彼の宿は賛否両論だけど、ちょっと面白そうなので、もしバスターミナルにいれば泊まろうと決めていた。
私の他に中国人バックパッカーが2人いて、彼等も一緒におやじの車に乗り込む。
ブ~ン~。
私「宿はWIFI使える?」
おやじ「ノープロブレム!!」
私「2泊したいんだけど」
おやじ「ノープロブレム!!」
私「ビザ取りに行きたいんだけど」
おやじ「ノープロブレム!!」
そう。このおじさんは英語はあんまりだけどとにかく「ノープロブレム」が口癖のように返事が全て「Yes」とか「O.K.」ではなく「No problem(大丈夫)」なのでネット上では「ノープロブレムおやじ」として有名(?)なのだ。
宿に到着。
中国人バックパッカー「お湯もちゃんと出る?」
おやじ「ノープロブレム!!」
中国人バックパッカー「ツインの部屋でも同じ値段なの?」
おやじ「ノープロブレム!!」
このノリで行けばもしかしたら・・・?
私「このダブルベットの部屋も1人で使っても同じ値段?」
おやじ「ノー!!」
ちっ、ノープロブレム以外の返事も出来たのか。
結局私だけドミトリールームへ。
ナゴルノカラバフはビザも必要!領事館?へ
ナゴルノカラバフは未承認国家と言えどビザが必要なので、荷物を置いておやじの車でビザセンター(役所?)へ。
Ministry of foreight affairs the Nagorno-Karabakh Republic consular servis
住所:Stepanakert, 28 Azatamartikneri Str.
電話番号:047-941418, 950768
着いたらランチ休憩中で、14時になって扉が開いた。
観光ビザはMAX21日までで3,000ドラム(約600円)。他にも細かく設定されている。
書類に記入し、待つこと数分、無事ビザGET♪
ビザはパスポートに貼られずそのまま貰え(貼るか貼らないか聞かれる)、出入国スタンプも無いので、事実上はアルメニアから出国していないということになる。
このビザはパスポートに貼ると、アゼルバイジャン入国時にもめるか入国拒否をくらうらしい。
私は既にアゼルバイジャンに行っているので貼ってもいいのだけれど、一応トルコを抜けるくらいまでは貼らないでおこうと思った。(トルコもナゴルノ問題に少し噛んでいるので)
シューシ観光
ビザ取得後そのままバスターミナルに戻り「シューシ(Shosh)」という町へ行く。
カラバフは見所が少ない・・・というよりも情報が少ないため、首都のステパナケルト以外には大体みんなこの町に行くようだ。
中国人バックパッカー2人も行くということで、3人でバスの出発を待つ。
バスターミナル近くにあった絵 ↓車のパーツ屋さん?
シューシ行きのバス↓
●シューシ(Shosh)への行き方
バスターミナルからバスで約30分、200ドラム
シューシの美術館前にバス停がある。往復共に本数多め。
バスでゴリスから来た道を戻ること30分、シューシの美術館前で降ろされるが、美術館は後にして、シューシ唯一の見所と言ってもいい教会へ向かう。
途中廃墟もあったけど、思っていたよりかは少なかった。今年あった武力衝突はこの地は戦場とはなっていないので、何年前に廃墟になったのか。
この廃墟にはきれいな絵が描かれていた。
教会へ向かう途中、2人のロシア人旅行者に声をかけられた。
「僕達は今教会2つに行って来たんだけど、他にこの町の見所って知ってる?」
多分中国人バックパッカーがロンプラを持っていたので聞いてきたのだろうけど、ロンプラにも大した情報は載っていないようで、私達も知らないと答えると、
「そうか・・・もぅやること無いよ・・・」
と、苦笑いしながら去って行った。
改めて本当に何も無いのか~と実感w
シューシの唯一の観光名所?「GHAZAN CHAZAN CHETSTS」教会
天気悪かった・・・。
ちょうど結婚式をしていた。
カラバフ美人。
ポストカードはここのお土産屋さんが一番充実していたので、ここで買えば良かった;(ステパナケルトの郵便局にもあるけどしょぼい。)
教会近くにあった絨毯博物館も無料だったので入ってみたけど、清掃中なのか絨毯が全て折り畳まれていて何の美しさも感じられなかった;
唯一ちゃんと見れたもの。
カラバフ第一猫発見!(すぐ逃げられた)
ヒマなので、先程のロシア人が言っていたもう1つの教会も行くことに。結構遠くに見えたけど、いざ行くとそれ程遠くもなかった。
小さな教会だけど、石造りで比較的新しいのかきれい。ステンドグラス画もちょっとタロットカードちっくでかわいい。
バス停への道に戻り、少し右に入ったところにFort(砦)がある。
私は美術館も行ったけど、他2人は1泊しかしないとのことでステパナケルトの観光をすると、先に戻って行った。
シューシの美術館
観光客は私しかいなくて、警備員がずっと私に張り付いて回るので何とも居心地が悪く落ち着かない。絵の干渉もそこそこに退散した。
美術館だけど写真はOK。入場料は無料。
特に印象に残った絵。
アララト山かなぁ?
※アララト山・・・聖書でノアの方舟が漂着したといわれている山。
現在はトルコの領土にあるがアルメニアからは50kmしか離れておらず「あの山は元々俺達のものだ!」と言うアルメニア人にも会った。
ノープロブレムおやじの名前が判明
宿に戻るとおやじがいたので、「明日ガンザサールに行きたいから、朝車でバスターミナルまで送ってくれる?」と聞くと
「アショート、ヒアー!ノープロブレム!」と返ってきた。
「朝ここにいるから大丈夫」と言っているんだろうけど、そうか、おやじは「アショート」という名前だったのか。
ノープロブレムおやじの名前が判明。
【なまえ】
Ashot Simonyan(アショート)
【せいそくちたい】
ステパナケルトのバスターミナル
【とくちょう】
・口癖が「ノープロブレム」
・おなかが出ている
・とにかく写真を撮ってほしがる。
で、「インターネットで書いて友達に教えてあげてくれ」と言ってくる。多分ネットで見てこの宿に来る人が多いというのを知ってるんだろうなぁ~。
アルメニア(ゴリス)ナゴルノカラバフ共和国(ステパナケルト)への行き方
①ゴリスの宿(Hostel Goris)~カラバフ行きマルシュルートカ乗り場
タクシー(宿で予約) 約3分 500ドラム
マルシュ乗り場はゴリスのメインストリートを北にまっすぐ行って幹線道路と交わる交差点。(GPSが無いのでちょっとあやふやです;)
乗り場の交差点↓(少し離れたところに「MINA HOTEL」という大きなホテルがあった)
②ゴリス 10:50発~ステパナケルト(Stepanakert)13:20着
マルシュルートカ 約2時間半 2,000ドラム
※マルシュは10時過ぎに来たが、人が集まるまで待った。
③国境(チェックポイント)
出発40分後に到着。
パスポートを提示して、ビザ申請所の住所を書いた紙と滞在証明書のような用紙をもらう。
この用紙は必ず出国時に提出しなければならないのでなくさないこと。
カラバフ内で観光する町の名前も聞かれるので、予めいくつかピックアップしておくといい。
ナゴルノカラバフビザ申請方法
ビザはエレバンでも取得できるらしいが、入国後に首都ステパナケルトの役所で申請するのが一般的。
入国したその日に取得しないといけないが、役所は17時か18時に閉まるので注意。
役所(ビザ申請所)の場所↓
バスターミナルから徒歩15分くらいだったかな?
観光ビザ(21日まで) 3,000ドラム(約600円)
その場で支払い、申請用紙に記入後数分でビザ取得。
申請用紙にはチェックポイントで書いた観光予定の町の名前と、カラバフでの滞在先住所等を記入。なので、宿の住所(と電話番号)を用意しておくこと。
ここで書く滞在予定日がそのままビザに反映されるので、予定が決まっていない人は一応日程を長く申請しておいた方がいいかも。
ナゴルノカラバフ(ステパナケルト)の安宿
「ノープロブレムおやじの宿(Ashotアショートさんの宿)」
↓「OPEL」の右側の建物。
↓建物のこの張り紙があるところ。
住所:S.David 81
電話番号:097202099
ドミトリー:3,000ドラム(朝食無し)
ダブルルーム、ツインルーム:1部屋6,000ドラム
WIFI:あり(遅い、部屋可)
設備:共同ホットシャワー、部屋はまぁまぁきれい、キッチン無し
行き方:上地図参照。バスターミナルからは徒歩20~30分ぐらいだけど上り坂でキツいのでそこまでしてこの宿に行く必要なない。
おやじがいれば車で無料送迎可能。バスターミナルから宿に戻る時、その辺の人に「アショートホテル」と言うとなぜかタダで乗せて行ってくれた。結構顔をきかせているらしい。(2016.8.16~2泊)
【注意事項】
宿におやじがいればバスターミナルやスーパーマーケット等、近場ならタダで車で送ってくれる。ただし彼は通常バスターミナルで客引きをしているので宿にいるのは朝と夕方くらい。家も違う場所にあるので夜はいない。
チェックインの際「フリーチャイ、フリーコーヒー」と言っていたのにどうやらノリで言ったらしい。
お湯を沸かせるポットも無いので、お湯が欲しい場合近くの商店で水を買ってそこで沸かしてもらう・・・という彼曰く「ノープロブレム」な方法。いや、プロブレムだろ。
もっとバスターミナル近くで朝食付3,000ドラムという民泊宿もあるので(先に行った人の情報)、私のようにこのおやじを見たいという人以外、この宿に泊まるメリットはほぼ無いと思う。
バスターミナルにいる客引きと要交渉。ホステルジョージアかリダの家の情報ノートにもいくつかのっていたと思う。
コメント
しほさん、お久しぶりです!
私もここ行って、チェックインするときに書かれてた
しほさんのコメントと同じことを思いました。(笑)
お久しぶりです!コメントありがとうございます(*´∀`*)
ほんとあのおやじ、結構ノリで言ってますよね~;結局「フリーチャイって言ったやん!」と詰め寄るとバスターミナルに乗せて行ってもらった時にチャイ奢ってくれました笑。まぁそこまでするつもりは無かったのですが;
でも何か憎めないおやじでした~。
しほ
こんにちは! 楽しく拝見させていただきました。
今日ステパナケルトのバスターミナルででアシュートを探していたところ、息子と名乗る2人組が居て、「父親は亡くなった」との事でした…
心臓を指差していたので、病気だったようです
>Masaさん
コメントありがとうございます。
え~!!亡くなったんですね・・・ショックです(´;ω;`)
気のいいおじさんだったのに残念です。
SHIHO