民族で分断された町「ミトロヴィツァ」の今。

コソボの首都「プリシュティナ」から「ミトロヴィツァ」という町へ。
この町にはイバル川という川があり、その川を挟んで北がセルビア人地区、南がアルバニア人地区に分かれている。以前の記事で書いたように過去の紛争によりセルビア人のほとんどがセルビア側に追いやられたため、現在のコソボは人口のほとんどがアルバニア人。少数のセルビア人が残っているものの、アルバニア人とは違う場所に住んでいる。
ミトロヴィツァのイバル川に架かる橋はそういった両民族の確執のため長年封鎖されていたのだけど、ここ近年行った人のブログではきれいに整備され通れるようになっていた。とは言え治安面で若干心配だったので宿のオーナーに大丈夫なのかと聞くと、
「Hahaha~!君はアルバニア人でもセルビア人でもないから大丈夫だよ!僕が行くと多分変な目でジロジロ見られるだろうけどね!」
う~ん、未だにそんな感じなのか~と思っていると、
「冗談冗談!僕が行っても全然大丈夫だよー!」
えっどっちなん;
オーナーに直接は聞いてないけどアルバニア人地区首都プリシュティナ中心部は恐らくほとんどがアルバニア人なので、多分オーナーもアルバニア人。まぁ今の所治安は落ち着いているようなので行ってみよう。
プリシュティーナからバスで1時間15分、「ミトロヴィツァ」に到着。
しかしバスで1時間走っても1.5ユーロ・・・約180円。
「ヨーロッパイコール高い」というイメージだったけど、今のところ東欧は宿代以外はまだまだ安くアジア圏とさほど変わりないなぁという感じ。
↓ミトロヴィツァのバスターミナル。
DSCF3619.jpg
またディティールがちょっとおかしいよ。
バスターミナル前には並んで2軒ホテルがあり、それぞれ聞くと1泊20ユーロと15ユーロ。まぁどっちもそんなに変わらんだろと15ユーロのホテルにチェックイン。
そこはかとない老朽感を感じるけれど、無駄に部屋が広い。
DSCF3610.jpg
南京虫出そうな雰囲気で怯えてたけどこのナリで意外と大丈夫だった。
ホテルに荷物を置いて、早速川に架かる橋を見に行くことに。
その前に腹ごしらえ。ホテル付近は観光地化されていないので、安めで美味しそうな食堂がいくつかあった。ちょうどお昼時で町の食堂はどこも人でいっぱいだったけれど、外から見て美味しそうなのを食べているお客さんがいた店に入って同じものを頼んでみた。
DSCF3624.jpg
めっちゃ肉!!w
下はもったりしたスープの表面に焦げ目をつけたものなんだけど、このスープ、完全にトルコで食べた味(;´∀`) アルバニア人=ほぼイスラム教徒=トルコ。(まぁそもそもなぜキリスト教が多数占めるヨーロッパでこの辺りだけイスラム教徒が多いのかというと、昔オスマン・トルコ領だっただめ。詳しくは調べてね!w)
ここまで来てまたトルコ。トルコ意外と尾をひくなぁ・・・。
一般的にはトルコ料理=世界3大料理・美味しい、のイメージだろうけど、安飯ばっか食べていた私はただ「またか」という感じ。(もちろん家庭料理やそれなりの金額を出せば美味しいものがある。そしてこの時の私はヨーロッパを先に進むにつれ安飯=ケバブになるということをまだ知らない;)
更にここで出されたスープ、トルコのチャイ屋さんで安いからよく食べてた豆スープと全く同じ味だった。この料理長トルコ人?;まぁ不味くはないんだけど完全に食べ飽きた味(-д-υ) 肉はまぁ思ったほど固くはなかった。これでパン付きで2.2ユーロ(約265円)だからまぁよしとしよう。←肉無しだともっと安い。
バルカン諸国に多い軍人像がここにも。
DSCF3623.jpg
この人はちょっと若めだなー。革命家?
民族衣装っぽいウエディングドレス。どれもかっこいいけどマネキン濃いな~;
DSCF3685.jpg
やっぱりモスクもある。
DSCF3620.jpg
町の中心には歩行者天国になっているショッピングストリートがある。
DSCF3626.jpg
大学があるらしく、学生も多かった。
この先に例の橋があり、英語では「Stone bridge(Ibar bridge)」というらしいけど、現地でそう言っても通じないし、橋は他にも沢山あるので予め場所を調べて行くこと。記事最後に橋の地図を添付しました!(※決して現地で「セルビア人地区に行きたい」などと言わないように!)
広場でピンクリボン運動をしている女性達がいた。
DSCF3683.jpg
ボランティアで手作りケーキを作って売っているそう。ケーキを食べる人がドネーション(寄付)を渡し、それが活動支援金になるっぽい。アルバニア語なのであくまでそんな感じっぽいな~、ということw; 1つ買ったけれど、まぁ味は。
一番右の人だけ肌が浅黒く顔立ちが違う。何系なんだろう。(←こういった国で出身地や民族を聞くのは大変失礼なこと!なので聞いてはいけない。)
そしてセルビア人地区に架かる橋に到着・・・。
DSCF3628_201702080700078ba.jpg
え~!Σ(゚д゚;)
DSCF3630_20170208081013cf4.jpg
橋の前、全面工事中・・・何の???;
しかも広い範囲で立ち入り禁止になっていて、警備員が数人見張りをしている。これは向こう側へ渡れないのかな~と警備員に聞くと、無言でぐるっと回ると行けるみたいなジェスチャーをしてくれた。結局この橋の近くに人は通れる簡易的な小さな橋が架かっていて、向こう側へ行くことは出来た。
↓黄色い手すりがついている所が簡易橋。
DSCF3632_20170208081016f7e.jpg
とりあえず渡ることはできたものの、、、
DSCF3675.jpg
セルビア人地区側でもがっつり工事中・・・何の???;
橋の両側で同時にこんな工事が行われているなんてもぅ何か意図的だとしか思えないんですけど(;´∀`)
橋を渡ってすぐのところには慰霊碑とセルビア国旗があった。
DSCF3634.jpg
とりあえずぶらついていると、丘の上に奇妙な物体を発見。(右上)
DSCF3638_20170208065942ac5.jpg
何あれ・・・と思ったのも一瞬。
バルカンを旅して丘の上にあるこういう奇妙な建築物はほぼ戦争慰霊碑であるということを学んでいる。学びすぎてちょっと面白味に欠けるなぁ;
とりあえず行くあてもないし、見晴らしも良さそうなので人に聞きながら行ってみることに。聞く人みんな英語が話せないのに、近くまで付いていってくれたりと優しい。
目的地手前にあった教会。
DSCF3646.jpg
DSCF3656.jpg
壁一面に聖画。
DSCF3655.jpg
目的地到着。
DSCF3663.jpg
教会で会った現地の人がやはり戦争慰霊碑だと言っていた。
それにしても何でこんな奇妙な形にするんだろう・・・。
しかもでかい。人比較↓
DSCF3661.jpg
ここからさっきの教会と町が見渡せた。
DSCF3664.jpg
途中女の子が店の前にある遊具で遊んでいて、ケラケラ笑ってめっちゃ可愛かったので、お母さんに許可をもらって写真を撮らせてもらったのだけど。
DSCF3668.jpg
恥ずかしがって途端にうつむいてしまった・・・(;´∀`)こういう時子供慣れしてる人なら一緒に遊んで笑わすんだろうなぁ(もちろん自分には出来ず)。
壁に描かれたセルビア国旗の絵。
DSCF3667.jpg
左がコソボ、右がセルビア。1つの国だという意味かな?
町のロータリーにあった銅像。軍人というより王様っぽい。
DSCF3673.jpg
コソボの通貨はユーロだけど、セルビア人地区側では、商品にセルビアの通貨「ディナール」表記があるところもあった。正直こっちの方が寂れている感はあったけれど、アルバニア人地区側のきれいな歩行者天国も、少々「つくりもの感」があるので、まぁ見栄で作っているのだろう。その一帯以外はセルビア側とさほど違いはないように思えた。
両民族の顔の違いは私はよく分からない。
両方ともちょっとトルコっぽい彫りが深い人もいるし、ロシア人のような肌の白い人、逆に浅黒い肌の人もいる。
更にバルカン内では時々「ロマ人」を見かけるようになった。
私は彼等が「ロマ人」と呼ばれていることも知らなかったけれど、他の旅人が教えてくれ、この辺りに住むジプシー(家を持たない移動民族)らしい。肌が浅黒く、よく見るときれいな顔立ちをしていてアルバニア人ともセルビア人とも顔立ちが全く違うし、見かける数も少ないのでひと目でロマ人だと分かる。しかし私のような旅行者が出会うロマ人は大体が薄汚れた服を着て観光地でお金をせびってくる、もしくは物をスろうとする人達くらい。もちろんちゃんとした人もいるのだろうけど。
バルカンに入り、特にアルバニアからコソボでは、色々「人種・差別」というものを考えさせられる出来事が多かった。長くなりそうなのでこれはまた別記事で書こうと思う。
宿の近くの食堂で夜ご飯。
DSCF3688.jpg
ピラフと焼焼売のようなもの。全部で2ユーロ(約240円)。
久々に中華っぽい食事で普通に美味しかったので嬉しい!
DSCF3615_20170208082111892.jpg
ジュース1L 50セント(約60円)
しかも100%?か分からんけど意外に果汁感があってびびった。
ミトロヴィツァの町自体はこじんまりしていて嫌いじゃないんだけど、まぁ学生が多いこともあってチンチョンチャン攻撃を激しく受けた(-д-υ) これもまたいろいろ書きたいことがあるので別記事にて。
★最後に注意点★
私が行った感覚ではミトロヴィツァの治安は今は安定しているようですが、橋がまた通れなくなっていることから、まだ両民族の確執はあるように思えます。2010年バスケットボール世界選手権でトルコがセルビアに勝利した際には橋で両民族での暴動が起こり、負傷者が出ています。(ソース)
またここミトロヴィツァを含むコソボ北部(セルビア国境側)は、外務省海外安全ホームページで「危険レベル2:不要不急の渡航は止めてください」に指定されています。ミトロヴィツァ以外にも両民族が近くに住む場所は注意が必要。
それ以外にもコソボではISILに外国人戦闘員として参加していた者が多数帰還していると言われていて、このような人物が国内でテロを起こす懸念があります。2016年11月にはISILの構成員と連絡をとりコソボ国内においてテロを計画していた容疑で複数名がコソボ警察に逮捕されるという事件等も発生しています。
コソボに行かれる方は外務省海外安全ホームページでの情報確認と、最新情報を受け取れるよう「たびレジ」の登録をおすすめします。

プリシュティナからミトロヴィツァへの行き方

①宿~バスターミナル
シェアタクシー 約15分 50セント
②プリシュティナ(Prishtina)8:50発~ミトロヴィツァ(Mitrovica)10:07着
バス 約1時間17分 1.5ユーロ

ミトロヴィツァの安宿



DSCF3612.jpg

「MOTEL GENTI」(写真左側)
シングル:15ユーロ(シャワートイレ付)
WIFI:部屋可。
設備:暖房
その他:英語が少しだけ通じるスタッフが一人いるけど、他の人は全く通じない。ただ一人旅の日本人女性が珍しいのか物凄く笑顔で優しかった笑。シャワーの水はけが悪い。部屋は隣の20ユーロのホテルの方がきれい。
宿泊日:2016.10.31~1泊
行き方:バスターミナルを背にして斜め右手側。

川に架かる橋はバルターミナルを背に左に進む。
イバル橋の場所↓

コメント

  1. みう より:

    はじめまして。
    今年のGWにアルバニア訪問予定で、色々検索していたらたどり着きました。
    情報の少ないアルバニアという国の細やかな情報を、女性一人旅という自分と同様の視点から見ることができて、とても助かっています。
    ありがとうございます!
    これからも気をつけて旅を続けてください。

  2. >みうさん より:

    >みうさん
    ありがとうございます!
    確かにこの辺りは情報少なくて困りますよね;アルバニアに限らずですが、この辺りはどこも自然がすごく良かったです。私が行った時期は冬でしたが、夏行かれるならぜひトレッキングをお勧めします!ネットではあまり情報がありませんが、現地のインフォメーションセンターや宿の人に聞くとどこもトレッキングポイントや見どころが沢山あります。私も夏ならもっと長居したかもしれません。
    みうさんもお気をつけて、楽しんで来て下さいね(*´∀`*)
    しほ

タイトルとURLをコピーしました