モーリタニアの過酷な旅。アイアントレインでまさかの事態。

アイアントレインモーリタニア

さてヌアディブからは、私達の中ではモーリタニアのハイライトとも言える「モーリタニア鉄道」、通称「アイアントレイン」に乗っての移動です!
この列車は大西洋側のヌアディブから内陸部のズエラットを結ぶ鉄鉱石を運ぶ貨物列車。世界一長い列車と呼ばれるこの列車は全長約3kmにも及ぶのだけど、鉄鉱石を運ぶことをメインとしているので客席車両は最後の1両のみ。座席と寝台シートがあり、乗車時間10時間以上という長旅にも関わらず寝台でも1000円しないという破格の安さ。(ただ寝台に乗った人のブログを見ると座席はすし詰め、寝台ベッドはバネが飛び出しているというそこそこなカオス;)

が、私達が乗るのは客席車両ではなく、鉄鉱石を積む「貨物部(カーゴ)」。
この貨物部は無料で乗れるのだけれど、どんなものかというと屋根の無いただのワゴンのようなもので、列車は砂漠地帯を走るため砂塵が凄く、乗り心地も最悪というかなりハードな交通手段。(ただ鉄鉱石を積んでいる逆ルートよりはマシ)

しかも首都ヌアクショットまで行くにはヌアディブから南下した方が早く、アイアントレインはただ横移動するだけなので、悪路を10時間かけて遠回りをするというなかなかのドMコース。
地図で見るとこんな感じ↓

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まぁ、、、私達も「全然進まんやん!」と気づいたのは最近なんだけど;
ただ10時間も無料でアトラクションを楽しめると思えば安い・・・のか?

私達はヌアディブから「シュム」という町で途中下車し、そこから更にミニバスで南下し「アタール」という町でようやく1泊出来る、という予定。

13:00 ヌアディブの宿のオーナーに鉄道駅まで車で乗せて行ってもらう。1人100ウギア(約30円)←その辺のタクシーも同料金。

13:30 アイアントレイン出発地の駅に到着。着いてすぐ駅に併設された小部屋でパスポートチェックを受ける。切符もここで買えるよう。

アイアントレイン乗車駅。

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駅の中は思ったよりもちゃんとしていて、コンセントもトイレもある。(トイレは駅構内ではなく外)14:00を過ぎると売店も開いていた。

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駅の外はこんな感じ。

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太陽は出ているけれど、既に風が強く砂煙が巻いていて空が白く霞んでいる。

列車のレール。

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駅構内にいたモーリタニア人にターバンの巻き方を伝授してもらい、防塵対策!

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↑この時はサングラスだけど、実際乗る時は水中ゴーグルを着用。

モーリタニアティーもご馳走になった。

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彼の着ている水色の服はモーリタニアの民族衣装。両脇が下の方まで開いていて、頭からすぽっと被るような形。飾りの施されたVネック部分の下、お腹の辺りにはポケットがついていて、みんなそこにタバコやらお金や携帯を入れている。便利。

モーリタニアのお茶は淹れ方はモロッコよりももっと手をかけているよう・・・人数が多くても小さいポットでお湯を沸かすので、1人が1回で飲む量が小さいグラスに3分の1とか。それを何回も繰り返して飲むという感じ。お茶を高い位置からグラスに注いで泡をたっぷり作るのはモロッコと同じだけど、モロッコよりも泡を沢山作ってそしてかなり甘い。

列車が来る時間は14:00~15:00の間と言われたものの、実際来たのは16:00。1時間半遅れているけど、他の人のブログでは20時や22時に来たというのがザラにあったので、これはかなり早い方だ。途中「今日は8時に来るぞ」というデマ情報が流れたので思いの外早く来て何も準備していなかった私達はあわあわと列車に向かった。

私達が乗り込む貨物部(カーゴ)は思った以上に大きくてハシゴをよじ登って中に入らなければならなかった。私はバックパックなのでそのまま登れるけれど、エリちゃんの靴5足入りキャリーバックはとても私達の力で持ち上げて入れることが出来無さそうだったので、急いで現地人のいる場所に行って手伝って入れてもらった。

思いの外深かったカーゴ内。

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男性3名と同じ車両ということで若干不安だったものの、結果を先に書いておくと普通にいい人達だったので運が良かった。
3人はカーゴに荷物を詰め込むなり手慣れた様子でビニールシートと毛布を敷き、その上に座らせてくれた。ヌアディブで荷物を降ろして折り返して帰る列車なので鉄鉱石こそ無いものの、カーゴ内は赤サビやスス?でかなり汚く、バックパックはレインカバーをしていても一瞬にして汚れた。

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みんなで写真撮影。

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荷物や砂対策の準備を整えてようやく落ち着いたと思ったら、一切前触れの無いガタン!!!という強い衝撃と共に列車が発車。意外と乗車してから発車までの時間は短い。

16:30 列車出発

列車が動き出し、「あれ?思ったよりも砂そんなに凄くないんじゃ?」と思ったのはほんの一瞬。顔の出ている部分に細かい砂がこびりつき、足を伸ばしていればズボンの上に砂が積もる。そんな中モーリタニア人はさもそれが当然であるかのようにカーゴの角に集めた砂の上で火を起こし、お茶を作り始めた。

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私達にも振る舞ってくれた甘い甘いモーリタニアティー。
普段飲むと砂糖味の紅茶じゃないかと思うくらい甘いのだけど、疲れた時は体に染みる。

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時々ハシゴを登って外を見渡すものの、景色はただただ砂漠か荒野が続くのみですぐ飽きる。車両は全長3kmなので、一番後ろの方に乗っている私達のカーゴからは先頭車両は見えない。

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夕陽とか見えるかな~と思ったけれど、空が霞んでいるので見えず。

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そしてその後はまぁこんな感じ。

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現地の人は目も覆って完全ミイラ化。

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苦しくないんだろうかと思っていた数分後には私も同じ状態になっていた。ゴーグルをしてようが、顔全体を覆うのが結局は一番手っ取り早い。

そして一番心配していたのがトイレ!!
他の人のブログではトイレ事情なんて書かれていなくて、10時間も我慢できる自信が無いし、列車が停まるかどうかも分からないし、一体みんなどうしているんだろうと思っていたら、モーリタニア人は列車が停まった瞬間に隣りの誰も乗っていないカーゴに飛び移り、そこで用を足していた。

カーゴ同士の間は1mくらいだけど、高さもある分飛び移るのはかなり危険・・・。外に降りて野ションするにしても、列車の停車時間もそれ程長くは無い上、発車前に汽笛などは無く周辺は砂漠地帯なため「乗り遅れる=死?」を意味する。死ぬくらいなら漏らすほうがマシだと私は一応生理用のナプキンをつけて臨んだのだけど、準備のいいエリちゃんが袋に入れた砂を用意していて、結局カーゴの隅に砂をまいてそこで用を足す、ということで落ち着いた。(夜は真っ暗なので隅まで行くと見えない)但しう◯こは出来ないけど。

目も開けれなくすることも無いので横になるものの、振動と音でほぼ寝られず。寒さを感じたのが夜12時過ぎ。空を見上げると昼の霞がかった空が嘘のように、満点の星空が広がっていた・・・。
列車に乗って星空を眺めながら、久々に感じる旅情感を味わってうつらうつら、、、としていた私を戒めたい!!!( ;∀;)

そう、この後アイアントレインよりも過酷な移動が待ち受けていることを、この時の私達はまだ知らなかった、、、。

~深夜3時~

icon_eri 「ねぇ、今GPS見るとシュムっぽいんだけど」

エリちゃんのスマホを見るとシュムの駅から少し離れているものの、なるほど近い。が、かなりこの時寝ぼけていた私。

icon1_shiho 「もぅちょっと行ってまた停まるんかな?」

icon_eri 「でも列車が長いからズレてるだけなんじゃない?」

icon1_shiho 「確かに・・・シュム行くって言ってた人起こしてみよう」

私達と一緒のカーゴにいた男性3人の内、1人はシュムで降りると言っていたから頼りにしていたのだけど、この時彼はまだ普通に寝ていた。急いで彼を起こして確認してもらうのだけど、真っ暗で駅も見えず彼もここがシュムなのか分からないよう。

本当に後で思えばGPSを信じてここですぐ降りれば良かった。

他の男性も起きて確認している内に列車は動き出してしまい、結局GPSは正しく、私達は降りるべき駅で降り過ごしてしまったのである・・・Σ(゚д゚lll)

恐らく次に停まる駅は私達の目的地・シュム(アタール)と反対方向の終点のズエラット。私は眠いのもあってまぁ着いてから考えるかとのん気に再度寝る体制に入ったのだけれど、その間エリちゃんは必死で目的地へ行く方法を同乗者のモーリタニア人に聞いていてくれたのである。。。←反省;

そういうわけで、まさかのアイアントレイン終点の町、「ズェラット」に到着。今までの風景とは少し変わって周りには鉱山なのかいくつか山があり、大きな重機や、廃車置き場など廃墟好きとしてはなかなか萌える光景。

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う~ん、ここまで行く旅人もなかなかいないだろう!(゚∀゚)←降り過ごしただけ。
とは言うものの、疲労は隠せない・・・。

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カーブ路線に差し掛かってもやっぱり先頭車両は見えなかった。

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廃車置き場には大量の廃車やタイヤがそのまま放置されている。

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8:00 15時間半かけて終点「ズェラット」に到着。

結局列車の駅から市内まで行き、そこから乗り合いバス(と言っても普通の車)でシュムの先の最終目的地「アタール」まで向かうことになった。
ちなみにズェラットはかなり素朴な田舎町。

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途中宿の看板は見たので、何ならここで1泊してもいいかなと思ってもいたのだけど先を急ぐことに。

乗る車はこれだけど↓

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私達が乗るのはここ↓

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まさかのまた荷台!?( ;∀;)

荷台から見えたタイヤ置き場。

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景色も見れて結構楽しいや~ん・・・と思ったのは始めだけ。

砂漠地帯の直射日光と強風にものの30分で「これはまたキツい移動になる」と悟ってしまった。しかも途中からはオフロードで振動も凄い。これが後5時間・・・。

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途中休憩で立ち寄る村が、未だかつてないくらいの田舎の村でなかなか良かった。

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家畜を解体する場所。

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毛皮が干されていた。

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モーリタニアのバスが停まる田舎の休憩所には基本的にトイレは無い。
どこにあるか聞くと「無い」と言われ、その辺でしろ的に指を差され、その方向を見ると女性もしゃがんで用を足している。スカートならまぁ問題無い?けれど、私はジーンズなので、隠れそうな場所を探しているとずっと村の子供が珍しがって付いてきてしまった。結局「トワレ!ハンマム!」と言うと何とか通じたようで、わざわざ民家のトイレまで案内してくれた。

↓案内してくれた子供達。

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チェケラッ!なポーズ・・・。

この後休憩所でお茶やパンを頂き、引き続き車の荷台には私達とモーリタニア人男性が乗って発車。

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いかんせん暑い。
その上車はぶっ飛ばすので砂風が半端無い上に落ちないように必死。
アイアントレインは言っても周りが覆われているので落ちる心配はまず無いし、夜の移動だからそこまで暑くはなかったものの、この暑さは熱中症になってもおかしくないレベルで、本当にしんどかった。
過去のキツかった移動を振り返っても上位3位には入りそう。初っ端でこれとはさすがアフリカ。

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景色はず~っと砂漠か荒野で、村自体もほとんど通らなかった。

↓ここだけ少し映画にでも出てきそうな世界でかっこ良かった。

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16:00 すったもんだの末、何とかアタールに到着。

アイアントレインでは車両で食べる用にお菓子やりんごを買っていたものの、食事を取れるような環境では無かったため、ヌアディブからほとんどまともなご飯を食べていなかった私達。宿で頼んだこの日のご飯がどれだけ美味しかったことか。

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ご飯に煮こんだ野菜をかけたもの。
これがまた美味しい!!玉ねぎをじっくり煮込んだような感じで野菜の甘みがあって、醤油を使っていない肉じゃがのような感じ。肉は「何の肉?」と聞くと「キャメル(らくだ)」と言われたのでちょっと驚いた。さすが砂漠の町。らくだの肉は固くて牛肉に似てるかな?臭みは無い。
宿で食べたのは3食で、ご飯・パスタ・クスクスと、主食は変わったものの、ソースは全てこの野菜の煮物だった・・・美味しいけど3食連続はさすがに飽きた。

普通はここで1、2泊して「シンゲッティ」という世界遺産の町に観光しに行くのだけれど、こんな感じで当然疲れきっていたし、このアタールという町で既にめちゃくちゃ暑い!気温は45度あると言うし・・・。えっ45度www なので結局ここより暑いシンゲッティはもぅいいかということになり、アタールでの2日目はエアコン付きの部屋にこもるというプランにした。

セイラさん軟弱者

男じゃないからいいもんねー(゚∀゚)

宿はアタールの中心部から離れていて、食事も全て宿で頼んだので、町すらも行っていない。なので、宿付近の田舎町の写真しか無い。

宿の前の道。

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そこにいるヤギ達。

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住宅街。

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モスク。

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エアコン部屋で回復し、モーリタニアの首都「ヌアクショット」へと向かいます。

モーリタニア鉄道(アイアントレイン)

①市内~駅まで
タクシー 約25分 2人で200ウギア

②16:30 ヌアディブ発
14:00~15:00くらいに来ると言われるので、一応その時間には駅にいた方が無難。パスポートチェックあり。

③3:50 シュム着
ヌアディブから約11時間20分

④8:00 ズェラット着
ヌアディブから約15時間半

⑤ズェラットの駅~市内
タクシー 1人1000ウギア(本当は500だった)

⑥ズェラット 10:20発~アタール 16:00着
乗り合い車 5時間40分 1人3000ウギア(荷物込み)
※車内はエアコン完備だった。荷台はもしかするともっと安かったのかも?要確認!

⑦アタールバスターミナル~宿まで
タクシー 約10分 1人100ウギア
※アイアントレインのシュム、ズェラットまでの所要時間は前後1、2時間の誤差はあると思われる。

アタールの安宿

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「HOTEL IMINI」
ツイン1室:6000ウギア
エアコンルームツイン1室:8000ウギア
食事:朝食500、昼食1000、夕食1000ウギア
WIFI:あり(かなり不安定)
設備:扇風機、共同シャワー、庭が広く洗濯物が干せる
行き方:中心地からタクシーで100ウギア。バス乗り場から南へ行ったところ。中心部から遠い。
その他:シャワーは日光で温められたホットシャワー。むしろ水でいい。夜も暑いので1日目は外に設置してくれたベッドで寝た。近くに商店はあり、水などは買えるがレストランは無い。
宿泊日:2017.5.19~2泊

コメント

  1. これは過酷そうですね。
    アフリカというとマラリアが頭に思い浮かんできます。
    じゅうぶん注意してくださいね。
    最近も、PKOでアフリカにいた日本人女性職員がマラリアで亡くなったというニュースがありました。
    アフリカには、「縁起でもない」ではすまない危険があるとかなと思いますので。

  2. >ここんとうざいさん より:

    そうですね。マラリアは怖いです・・・。
    でも病気以上に人にも怯えてますけど(;´∀`)
    ありがとうございます!気をつけます。
    しほ

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