砂漠の村でカウチサーフィン(ハシラビート)

ハシラビートモロッコ

そもそもメルズーガ(ハシラビート)では砂漠ツアーから帰ってきてそのまま別の町(ティネリール)に行く予定だったのだけど、別の観光客がここでカウチサーフィンをするというのを聞いて、砂漠の町に住む人の家とか泊まってみたい!と思い、ホストを探すことに。

※カウチサーフィン・・・簡単に言うと民泊みたいなもの。

意外にもホストは多く、いいことにみんな家族と住んでいる。宿泊予定の前日ということもあったので、返信が無いと困るので3人ほどメッセージを送ると、すぐさま3人ともOKと返事が返ってきた。

中でも一番年上の男性のホスト「Mさん」の家にお邪魔することに。

砂漠の民・ベルベル人のMさんのお家で民泊させてもらう

Mさんの家はMさんとその家族が住む家と、その向かいにゲスト用の家がある。

↓2日間お世話になった家。

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この村にある民家は土とワラで出来ている。水を含ませて固めるのだそう。

↓部屋

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簡素だけどちゃんとホットシャワーも浴びれるし、個室でカギもかかるので安心。

モロッコの普通の家庭にあるベッドは、なぜか幅がかなり狭い。

幅1mくらいで寝返りが打てないくらいだけどそれが標準らしい。(この部屋にあるのはそれよりも広いけど、別の部屋のベッドは狭いタイプだった。)

私はMさんが結婚していて自分の家族と住んでいるものだと思ったのだけど、実際彼自身は未婚で、彼の兄弟と両親と住んでいるとのことだった。

しかも兄弟が5人いて、お兄さんとお姉さんにはそれぞれ子供もいて、み~んな一緒に暮らしているので、子供5人が一体どの人の子供で、どれがお姉さんでどれが奥さんとか・・・紹介はしてくれたもののサッパリ覚えられなかった。唯一はっきり分かるのはお父さんとお母さんだけ;

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真ん中の男性がお父さん。

この部屋がダイニングルーム的な扱いで、ご飯やお茶の時間にはここに一家全員が集まり、この丸いテーブルを囲む。

お茶の時間はもちろんモロッコティー(甘いミントティー)が出されるのだけど、毎回お茶を注いでくれるのはお父さん。

なぜかと聞くと、お客さんをおもてなしするのは家長の役目とのこと。

まぁお客さんがいない時でも、モロッコティー(なぜかここではよく”ベルベルウィスキー”と呼ばれていた)を注ぐのは大体家長がやるらしい。※お茶をセットするのは女性で、家長は注ぐだけ。

日本ではお茶を淹れるのは女性や下っ端の仕事って感じだけれど、こうして「家長の仕事」としてやっているお父さんを見ると何だか威厳があってかっこいい。

考えたら日本で「家長の仕事」を普通の仕事以外にやっている男性っているんだろうか・・・。

よし、私がもし結婚できたらw旦那には家長の仕事として、「私のノートパソコンが立ち上がったら知らせる」という仕事をやってもらおう。
最近またぐずってるんよねこの子・・・。

話が反れたけどこのモロッコティー、香りを出すために高い位置からポットで注ぐためお茶の表面に泡が出来るのだけど、その泡がうまく出来るほど美味しいとのこと。

結構これが難しく、お父さんは周りに飛び散らさずにトトト~と淹れるのだけど、私がやるとびちゃびちゃと飛び散ってしまう;

ちなみにモロッコ人、ティーの泡はいいけど、カプチーノの泡は嫌いらしく、カフェではみんなカプチーノの表面の泡をソーサーに避けて飲んでいるのがちょっとおもしろかった。

ゲスト用の建物には屋上があり、そこからは砂漠と町並みが一緒に見れてすごくいい。

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彼が飼っているらくだ達↓

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Mさんと弟は前日私が行ったらくだツアーのように、らくだをひくガイドをやっているとのことだった。

らくだと彼の弟↓

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荷物を置いてモロッコティーを頂き、ここでやることと言ったら砂漠で散歩することくらいしかないので、2人で砂漠に行く。

村を歩いている時に壊れている家があったので、土とワラで出来る民家がどのくらい持つのだろうと思って聞いてみると、「さぁ・・・?すごく長く持つ」との答え。

「でもこの家は壊れているよ?」

「あぁ、それは政府が決めた場所からはみ出たから、政府に壊されたんだよ」

「えぇ~!かわいそう;」

「また作ればいいから問題無いよ」

結構あっけらかんと言うので、そんなものなのかー;と少し驚いた。

更にどのくらいの期間で1つの家が建てられるのかと聞くと、変なこと聞くなぁという顔で

「1段作って、それが乾いたらもう1段、と作って高くしていくんだ。お金を払いながら作るから、お金があれば早く出来るし、無ければ時間がかかるかな。」

なるほどー。

日本で家を建てる時はローンさえ組めれば、お金を全額払っていなくても先に家が貰えるけれど、海外ではそうはいかない国も。

なぜなら途中でお金を払えなくなったり、払わなくなったりするから。

お金を払いながら、払った分だけ建てていく、というのは先進国以外の国では結構よくあることなのだ。

↓Mさん。

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彼は自分のことを「生粋のベルベル人」だと言う。

ここへ来るまで「ベルベル人」という人種があることすら知らなかったけど、彼の話しぶりからしてベルベル人というのに誇りをもっていて、かなり民族意識が強い。

言語も「ベルベル語」という独自の言語があるけれど、ほとんどの人がアラビア語もモロッコ語も分かるとのこと。

※ベルベル人・・・北アフリカの先住民族。この辺りに住んでいる人はほぼベルベル人らしい。

Mさんが砂漠ツアーはもぅ行ったのかと聞くので、行ったけど夜うるさくて眠れなかったし、今イチだった、と言うと

「今日僕は砂漠ツアーに行くよ。らくだはもうフルだから、もし歩いて行ってもいいなら夕食代とテント代の50ディルハムで行けるよ。もし行きたいならだけど」。

50ディルハム(550円)。
これは安い!

モロッコの物価として安宿代が60前後、メルズーガの観光客用レストランが1食40前後、その話乗った!

サハラ砂漠を歩く

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ということで、2日連続砂漠ツアー!

しかも今回はらくだに乗らず、らくだの前を徒歩で歩く「砂漠トレッキング」。
むしろこっちの方がテンション上がった。

歩いて初めて分かったのはらくだって意外と歩くのが遅い。

キャンプ地までは1時間くらいとそんなに長くないのだけど、砂漠を歩くのは初めてだからペースを乱したらヤバいと思い、同じペースで黙々と歩いていたのだけど、ふと振り返るとらくだの姿が無いことがあって焦った。

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あと、砂漠と言えどキャンプ地までは足跡が残っているのでそれを辿って行けばいいのだけど、砂丘の斜面なんかはその足跡からちょっと外れると砂に足を取られすぐ転びそうになる。

人が歩いた跡をたどるは簡単だけど、それを外れると途端に難しい、旅と一緒だなぁ。

らくだをひくMさん。

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本日のキャンプ地。

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昨日の所よりも町に近く、周りに他のキャンプ地も沢山あり、バギーも走っている。

キャンプ地に着き、みんなでミントティーを飲み始めるとMさんがひいていたらくだに乗ってきた家族のお母さんが

「あなた何でここまで歩いていたの!?クレイジーだわ!」

と言う。久々に言われたなぁその言葉笑。

「いや、私も歩く前はキツいと思ってたけど、歩いてみるとそうでも無いよ。1時間も無かったし」

と言うも、考えられない!という雰囲気だった。確かに見た目はハードそうだからまぁ実際歩いてみないことには分からないと思う。

テントの中。

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1つのテントを半分で布で区切って2組泊まれるようになっている。

夕食はやっぱりタジン鍋。

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今回はスープとタジン鍋とパンとオレンジ。

キャンプファイヤーも無く、全体にオアシズのツアーよりもクオリティが落ちるので、安いツアーなのかもしれない。

ただ、ツアー客はレバノン人家族とスイス人カップルで、しょぼい韓国語をひけらかすガイドもいないので、平和に静かに過ごすことができた。

天気は曇り空で夕日も星空も今イチだったけれど、砂漠トレッキングなんてなかなか出来ることもないのでいい経験になったと思う。

翌朝の帰り道、Mさんに「君の昨日のキャンプ地はあっちの砂丘だったんだろ?」と遠くにある砂丘を指差して言われたものの、もちろん私には全部同じ砂丘に見えるので分からない。

私がMさんに「もしこの足跡が無くてもキャンプ地まで辿りつけれるの?」と聞くと「全然問題無いよ。ここの大きい砂丘を曲がって、次の小さい砂丘を、、、っていう風にちゃんと覚えているから。」

う~ん、さすが砂漠の民だ。

かっこいいなぁー。

サハラ砂漠の村・ハシラビート観光

砂漠から戻り、シャワーを浴びて少し村を散策。

井戸発見。

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「ガーデン」と呼ばれる畑。

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一応用水路もあるのだけど、作物はイモっぽいものとネギしか見なかった。

お土産屋さん。

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砂漠のカフェ。

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暑くなければテラスがいい。

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ここでお茶をしている時、外国人観光客が入ってきてスタッフに「この近くに銀行かATMはある?」と聞いていて、その答えが

「25Km先にあるよ」

だったので思わずお茶を吹きそうになった。

その後「バスも少ないからタクシーで◯ディルハム(高い)」というのを聞いてその人は更にショックを受けていた。

かわいそうに;(かなり田舎なのでカードを切れるところはほぼ無い)

子どもたちとベルベルご飯

Mさんの家に行ったのは丁度土日だったので、子供達とよく遊んだ。

ご存知の通り?私は子供に対して人見知りするほど子供があまり得意ではないのだけど、ここの子達はカウチで色んな人が泊まりに来ているからか、全く人見知りしないので特に困ることもなかった。私自身特にやることが無くヒマだったというのもある。

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陣つきのようなものや、かくれんぼ、お絵かき、折り紙も教えてあげた。5人の子供の内、男の子はまだよちよち歩きの1人だったのが幸い。

↓子供達が描いてくれた私。白目むいてるけどなかなかうまい。

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お姉さんや奥さんは家のことでいろいろ忙しいらしく、子供達がちょっとそっちへ行くと「ほら!お姉さんのとこ行ってなさい!」という風にこちらに戻して完全に放置。またその放置っぷりが面白かった(´∀`)

最終日は一緒に晩ごはんを頂いた。

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大皿にこんもりと盛られた雑炊のようなもの。

鶏ガラで炊いているのかな?それを手ですくってパンに乗せて食べる。

日本でみんなで鍋をつついているような感覚で結構豪快だった。奥にあるのは鶏肉と野菜を煮込んだスープのようなもの。これも美味しかった。

女性陣とはあまり話す機会が無く、話しかけてもそれ程フレンドリーな感じでも無かったのであまりカウチとか好きじゃないのかな~と思っていたのだけど、この時に初めて色々聞かれ、どうやら「気になるけどあんまり英語できないから」ということだったみたい。最後に子供達と一緒に遊んでくれてありがとうとお礼を言われ、

「インシャアッラー」

と。

アラビア語で「アッラー(神)がお望みであれば」という意味で、「神の御心のままに」とか「神のみぞ知る」など色んな意味が含まれ、色んな場面で使われる。ここでは「ご加護がありますように」という意味かもしれない。何だかいい言葉だなぁ・・・。

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追記~多分砂漠でサソリを踏んだと思う~

そこそこ重要なことを書き忘れたけど、今回の砂漠ツアーで夜自分のテントに戻るとサソリを発見。

発見、、、というか、何なら裸足で踏んづけた。

テントには電気がついていなかったので、暗い中クロックスを脱いでそのままテントに入ると、思いっきり甲殻類的な感触が足の指下に。

「うわっ」と地味に叫び、どうせフンコロガシだろうと(砂漠でよく見かける)スマホの照明を付けると、私がイメージするハサミがあって、尻尾が反り返っているサソリそのままの形のやつが!

「ススス、スコーピオン!!」とすぐさまMさんを呼ぶと、Mさんは「サソリじゃない」と。

確かにサソリって赤黒いイメージがあるけど、私が見たサソリは白かった。

「良かった~!白いしサソリじゃないんだね!私裸足で踏んじゃったよ!」

「えっ!?裸足で?痛い所は無い?」

「えっ・・・無いけど、サソリじゃ無い・・・んだよね?」

「うん、サソリじゃないよ」

な、何かしっくりこない、、、(;゚_ゝ゚)

その後私の帽子に隠れこんだサソリらしきものは、そのまま帽子ごと連れて行かれてどうにかされました。

後でネットで調べてみると、サソリでも白いものはいる、ということが判明。。。

サソリやん!

まぁ私は生物学者では無いので絶対そうだとは言い切れませんが、夜寝る前にテントの中(靴や帽子の中)は一応確認することをお勧めします。。。

メルズーガ(ハシラビート)でのカウチサーフィンの注意点

ハシラビートでのホストは家族と同居している人が多く、返信率も高くすぐ見つかる。

ホテルの人が言っていたのだけどここでカウチをしている人は全てらくだひき(ガイド)、もしくはらくだツアーを勧誘する人でそのためにカウチをしているとのこと、その件に関しては私も間違い無いと思う。

まぁしつこく勧誘するとリファレンスに悪く書かれるだろうからそこまで身構えることはないだろうけど、一応注意を。不安なら先にらくだツアーを終えてから行くのも手。

Mさんが徒歩ツアーを言ってきた時も全然しつこくなかったし、50Dhという値段も安いと思う。

彼等に直接ツアーを申し込む場合、ホテルで予約するよりは安くなるとは思うけど、それなりのクオリティということは覚悟しておいた方がいいかもしれない。

この村の人達はカウチサーフィンのシステムも知っていて、待ち合わせ場所で待っていると違う人の家に連れて行かれることもあるようなので、あまりカウチで泊まることを大っぴらにしない方が無難。

コメント

  1. ベルベル人は、自分でも「ベルベル人」と言うのですね。
    ウィキペディアにはこう書いてあります。
    「ベルベルの呼称は、ギリシャ語で「わけのわからない言葉を話す者」を意味するバルバロイに由来し、ヨーロッパの諸言語で Berber と表記されることによる。」
    英語のバーバリアン(未開人・野蛮人)もベルベルと同じです。
    だからベルベル人は「ベルベル」という言葉を嫌がっていると読んだことがあります。
    「彼ら自身は,イマジゲンImazighen(単数Amazigh,〈高貴な出の人間〉の意)などと自称する(世界大百科事典)」
    本人たちはあんまり気にしていないのかもしれませんね。

  2. >ここんとうざいさん より:

    そうですね。普通に「ベルベル」って言っていました。
    お土産屋の絨毯なんかでも「これはベルベルデザイン」とか説明されたりするので、外国人にはそちらの方が通じやすいからかもしれません。私が話したMさんは若い世代なので、年輩の方だとまた違うのかもしれませんね。
    しほ

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