セルビアの負の遺産「ニシュ強制収容所」と「ブバニ記念公園」

ヨーロッパ

セルビア南部最大の都市・ニシュ(ニーシ)。

ニシュは古代よりオリエントと西側の世界を結ぶ玄関口でもあり、バルカン半島やヨーロッパの中でも古い都市のひとつです。町の中心には18世紀初期に造られた要塞があり、観光客や地元の人で賑わっています。

セルビア南部最大の都市といってもこじんまりとしているため、観光がしやすい町という印象。

ニシュでは、第二次世界大戦の遺構である「ニシュ強制収容所」と「ブバニ記念公園」に行きました。

負の遺産「ニシュ強制収容所(Red Cross Nazi Concentration Camp)」

ニシュ強制収容所

ニシュ強制収容所

第二次世界大戦中、1941年に設立されたニシュ強制収容所は、ナチス・ドイツによって連行されたセルビア人・ユダヤ人・ロマ人を収容するために使用されました。

ここでは約3万人もの人が収容され、1万人がニシュ近郊にあるブバニの丘で射殺されています。

ナチス・ドイツの強制収容所といえば、ポーランドにある「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所」が有名ですが、実はヨーロッパにはこういった場所がいくつもあり、ユーゴスラビアで最初につくられたのがここ、ニシュだったのです。

収容所のマップ。一番上の小さく区切られている部屋は独房です。

これが独房。1畳ほどしか無い上に、天井が斜めになっているために圧迫感があり、非常に狭く感じました。小窓がある分まだマシですが、この窓も何か後から取り付けられた感があるので、元々あったのかすら謎です。

当時は床に有刺鉄線が張られ、寝れる状態では無かったそう。
(私が訪れた時には無かったですが、過去訪れた人の写真にはありました)

なぜか展示されている頭蓋骨。

大部屋。

収容されていた人々。

部屋の壁には、実際に収容されていた人々が書いた落書きが今も残されています。

ガイドがいないので、何と書いているのか分かりませんが、こういう時現地の言葉が読めたらな~とつくづく思います。

1944年にニシュは、パルチザン(人民解放軍)とソ連軍により解放されました。

ニシュ強制収容所への行き方と開館時間

ニシュ強制収容所

ニシュ強制収容所は市内にあるため、中心部やバスステーションから歩いて行けます。

入館料は忘れました;

開館時間
火~金 9:00~16:00
土日 10:00~15:00

休館 月曜

※私が訪れたのは11月ですが、もしかすると夏と冬で多少時間は変わるかもしれません。
(2016年11月)

1万人もの人が射殺された丘「ブバニ記念公園(Bubanj Memorial Park)」

ニシュ中心部から3Kmほど離れた小高い丘にあるのが「ブバニ記念公園(Bubanj Memorial Park)」。

前述した通り、ここで1万人もの人が戦争によって理由も無く射殺されたのです。

現在は写真のような巨大な慰霊碑が建ち、戦争によってニシュで犠牲になった人々を祀る戦没者記念公園となっています。

戦没者記念公園と言っても、それほど悲壮感は漂っておらず、広々とした芝生の上でお弁当を広げる家族や、犬と遊ぶ人など、地元民の憩いの場となっているようでした。

私としては、このやたら大きく、角張ったフォルムが共産主義建築の匂いがして非常に萌えです。

このモニュメントは「Three fists(3つのこぶし)」というタイトルで、大きさもそれぞれ違います。

3つのこぶしはそれぞれ、敵に抗う男性・女性・子供を象徴し、家族全員がブバニで殺されたという事実を象徴しています。

しかしこの記念碑は、いたずらに悲壮感を漂わせるものでは無いのがいいのではないでしょうか。

ここへ来ることで悲しくなるよりも、楽しそうに遊ぶ家族を見ているとつくづく平和っていいなぁと思うのです。

ブバニ記念公園(Bubanj Memorial Park)への行き方

入場料 無料

行き方
市内から市バス2番4番等で近くまで行けます。
60ディナール(約60円)
乗るバスによりますが、降車した場所から徒歩10~15分程度歩きます。

クラリエボからニシュ(ニーシ)への行き方

バス(スコピエ行き) 3時間10分 890ディナール(約890円)
10:45発→遅れて11:10発~14:20着・満席

ニシュのゲストハウス(ホステル)

「Aurora Hostel(オーロラホステル)」
ドミトリー:1,120ディナール(約1,120円)
WIFI:あり(部屋可)
その他:ミニキッチン・エアコン・ヒーター・ロッカー・個別コンセント・個別ライト
行き方:バスターミナルより徒歩約15分

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