サラエボ包囲に立ち向かった「トンネル博物館」で歴史を知る

ボスニア・ヘルツェゴビナ

引き続き、サラエボでのボスニア紛争関連の観光です。
ボスニア紛争については、前回の記事で比較的分かりやすく説明したので、そちらをご参照ください。

希望を繋げ!「サラエボトンネル博物館」に行ってみた

1992年3月から3年にわたって続いたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。紛争が勃発してすぐ着工されたのが「サラエボトンネル」です。セルビア軍の包囲により外界から遮断されてしまったサラエボ市と、国連が管理するサラエボ空港の反対側にあるボスニアの領土とを結ぶために、ボスニア軍によって建設されました。

トンネル建設計画は秘密裏に行われ、「Butmir(ブトミール)」と「Dobrinja(ドブリンジャ)」という地区を繋いでいたことから、その頭文字をとって「Objekt BD」というコードネームで呼ばれていました。
非常に緊急性があったため作業時間は1日24時間、労働者は8時間交代で働き、全長約800メートルのトンネルが約4ヶ月で完成しました。

このトンネルによって、サラエボ市内に残された人々への食料・生活物資の供給の他、軍事支援や人道援助、一般市民の救助等人々が行き来することもできたのです。

トンネルのほとんどが既に埋もれてしまっていますが、現在はその空港側の入口が、当時の様子を後世に残す「トンネル博物館」となって管理されています。

トンネル博物館はサラエボ中心部からは少し離れているので、私はトラム(路面電車)とバスを乗り継いで行きました。結構時間がかかるので、時間が無い方は、市内から出ているツアーに参加することをおすすめします。

トンネル博物館へ向かう32番バス

公共交通機関を使って自力で行くのもそれほど難しくはないので、記事最後に行き方を書いておきます。

到着すると生憎の雨。誰もいない・・・。

非常にのどかな田舎町。
バスを降りてトンネル博物館までは徒歩10分程度歩きますが、道中は案内板もあります。

しかしここにも、生々しい弾痕が残る民家がありました。

↓トンネル博物館外観です。

サラエボトンネル博物館(Sarajevo Tunnel Museum)

トンネルの入口は民家の中にあります。この民家と土地を所有しているコロラー氏が、当時の記憶を風化させないために博物館を運営しています。

博物館の上にある看板「TUNEL SPASA」はボスニア語で「狭いトンネル」、「KUCA KOLARA」は「コロラーの家」という意味。

開館時間は午前9時ですが、閉館時間が夏と冬で違うのでご注意を。

内部には当時の様子が撮影された動画があり、狭いトンネルを沢山の荷物を抱えた人々が行き来している映像が非常にリアルでした。

天井に吊るされた弾丸

落ちた弾丸がそのまま残されている場所も。でもこれって不発弾?

館内は民家なので狭く、それほど多くのものは展示されていませんが、当時の写真や銃等も見ることができます。

この写真のように、空港の滑走路の下にトンネルが通っていました。全長800メートルもあるこのトンネルは重機等は使わず、全てシャベルで手掘りされているのです。

そして博物館内にある、当時実際に使われていたトンネルの入口がこちら。

トンネルの平均高さは1.6メートル。身長170センチ近い私は屈まないと歩けませんでした。幅は約1メートル。この狭いトンネルを、大量の物資を持って行き来したというのだから、非常に大変だったことが分かります。

公開されている部分は約20メートルほど。この圧迫感のある狭いトンネルが800メートルも続くと思うと、閉所恐怖症ではない私でも、少しゾッとします。

しかしこのトンネルによって、多くの命も救われました。
通常このトンネルは「サラエボトンネル」と呼ばれていますが、観光案内所では「希望のトンネル(Tunnel of hope)」とも表示されています。

博物館外には地雷がそのまま残っている場所も。

弾痕跡を残したサラエボのバラ(サラエボ・ローズ)もありました。

あっ猫さん!
猫さんに癒やされたところで帰路へ。

ちなみにこの日の昼食。

丸いパンに薄いハンバーグのようなものを挟んだハンバーガー的なもの。ボスニアではこういうひき肉を使った料理が多い気がするのですが、意外とジューシーで美味しいんですよね。でも欲を言えばもっと野菜が欲しい・・・。そしてサイズが大きすぎるよ・・・。

サラエボ市内からトンネル博物館への行き方

トンネル博物館へ向かう32番バス

①トラム3番、終点「ILIDZA」で下車。
約40分・1.8マルカ(キヨスク1.6マルカ)
※トラムは旧市街がある市内中心部の大通りから、東西に走っています。西行き(空港方面)に向かうトラム3番です。

②バスターミナル4番乗り場、32番バス
約15分・1.6マルカ
※トラムを降りてすぐバスターミナルがあります。

③バス下車後、徒歩約10分。
※観光客が降りる場所はここしか無いので、多分大丈夫でしょうが、事前にバスの運転手トンネルで降りたい旨を伝えておきましょう。

●私の場合
博物館自体は見る場所は少ないので、1時間もあればじゅうぶんだと思います。私は10:50発のバスで行き、帰りは12:10のバスで戻って来ました。

「サラエボトンネル博物館(Sarajevo Tunnel Museum)」
営業時間 9:00~16:00又は17:00
入場料 10マルカ(約610円)

↓公式ホームページ

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