ローマ遺跡が沈む温泉とラム子の食堂(パムッカレ)

トルコ編もあと数記事かなー。その前にトルコの治安情報を少し。
現在私はトルコを出てバルカン半島をうろちょろしているのですが、11月4日に外務省から以下のメールを受け取りました。
~11月3日、イスラム過激派組織ISILの指導者のものとされる音声メッセージが公開され、その中でISIL戦闘員やその同調者に対して、トルコ及びサウジアラビアにおけるテロを呼びかけました。
うぅ・・・トルコの地図がどんどん黄色くなっていく・・・。
外務省海外安全HPでは、危険地帯は地図に色がついていきます。)
それでも行きたいという方(いれば)、どうぞお気をつけを。たびレジの登録を強くおすすめします!こちらの記事も合わせてお読み下さい。→トルコの今~テロと治安~
もし私が今からトルコに入国するなら、絶対イスタンブールとアンカラは避けますね・・・。ヨーロッパ辺りから空路で南キプロスに入り、そこからトルコに入国、カッパドキア・パムッカレ辺りを見てギリシャの島に抜ける、というルートなら比較的安全でしょうか。(注意:キプロスは南→北→第3国は可能だけど、北→南→第3国は禁止されている(いた?)。が、第3国の出国航空券もあれば可能だったというブログも読んだ。)
それでは本題へ。
イスタンブール観光ハイライトの1つ「パムカッレ」という町(村?)へ。
バスの乗り換え地点「デニズリ」というところで宿の客引きにあう。私はトルコでは宿は予約せずに飛び込みで行っている。観光客の少ない今の時期、飛び込みで交渉した方が安くなる場合が多い。
一応目星をつけた安宿はあったけど、とりあえず客引きに「見てから決める」と言い、見てから決めた結果。
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まさかのプール付き。まぁプールに入りたいほどの暑さではないけど。
ドミトリー朝食付で30リラと言うのを、他の宿が24リラ(840円)だからそっちに行くと言ったらアッサリ下がった。しかもドミと言われたけど当然のように他の宿泊客はいないので、普通にシングルルーム(シャワー付き)として使えてかなり得した気分。
更にその客引きがこの日私が行こうとしていた「カラハユット村」まで車で乗せて行ってくれた。
ここには「レッドスプリングス」と呼ばれる温泉がある。
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温泉は翌日別の場所で行く予定だったので、外にある無料の足湯だけつかる。
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そんなに熱くないので、冬場はぬるいと感じるかも。
ただ、源泉は「熱湯」と言えるくらい熱い。
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そして飲める。
トルコ人もその場でごくごく飲んだり、ペットボトルに入れて持って帰ったり。どういう効能があるのか分からないけど「体にいい」らしい。
みんなおしゃべりなんかしながらまったりつかっていて、のどかでいいな~と思った。
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上から見たところ。
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左の青いきれいな温泉は石灰でできた「石灰棚」。翌日はこの親玉みたいなところへ行くのです!
(※ちなみにこの客引きは途中でしれっと手を繋ごうとしてきた。そうだ、痴漢にあわないから忘れてたけどここはイスラム圏。気をつけなければ!)
そして翌日、メインイベント「石灰棚とヒエラポリス」へ。
入場料:35リラ
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正面に見えるのが石灰で出来た丘なんだけど、その規模は半端無く大きい!丘まるまる全部真っ白!
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ゲレンデみたい・・・。
保護のために途中から靴を脱いで裸足で歩かないといけないんだけど、やっぱり雪とは違ってゴツゴツでカッチカチに固い。転んだら痛そう。そして冷たい!温泉が湧いているので、ところどころ張っている水はほんのり温かい。
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丘陵地帯の石灰棚が弱酸性の雨によって溶け、地熱によって温泉となり沈殿した石灰が固まり、このような光景が出来たそう。
しかし・・・。
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ウワサには聞いていた通り水が枯れている・・・(;´Д`)
観光客の増加と、ホテルの建設ラッシュでそっちに温泉の水をひいてしまったため、水が枯れてしまったらしい。後で聞くと、今は水を流す量や、流す場所をコントロールして維持しているとのこと。
↓しっかり水があったのはこの部分だけだった。
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石灰棚の丘を越えると、そこには古代ローマ遺跡が出現する。
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この石灰棚と遺跡がある一帯は「ヒエラポリス-パムッカレ」として1つの世界遺産に登録されている。世界遺産は遺跡や建造物などの場合「文化遺産」、自然的価値のある場合「自然遺産」、そしてその両面の価値を持つ場合は「複合遺産」として登録される。
現在1052件ある世界遺産のうち、複合遺産は35件。トルコではカッパドキアとここヒエラポリス-パムッカレが複合遺産として登録されている。他に有名なのはオーストラリアのエアーズロックやペルーのマチュピチュ、ギリシャのメテオラ等。残念ながら日本ではまだ無い。(ちなみに富士山は文化遺産での登録。)
ここにはかつてローマ帝国の温泉保養地として栄えた「ヒエラポリス」という都市があった。
↓町の目抜き通りに建設された門。
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↓ネクロポリス(墓地)
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ここは辺り一面に棺があった。墓地の様式も様々で長い間利用されていたらしい。
↓アポロ神殿跡
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↓円形劇場
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紀元前2世紀に造られたローマ劇場。
規模の大きさに思わずおぉ~と言ってしまう。石灰棚は水が無かったけど遺跡もいいじゃあないの。
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そしてここには「底に遺跡が沈んでいる温泉プール」があるのだ!
入口になぜかにわとり?
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おぉ~!!
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外から見るぶんには無料。
中に入るのは32リラ。約1120円。高っ!
日本の温泉より高いっ!Σ(゚д゚;)
写真は外からでも撮れるしどうしようかな~・・・としばらく悩んだけど。
入った♪
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防水カメラが役に立つ時がー。温泉の底に沈む遺跡。
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遺跡に座って温泉につかるなんて初めてなので何か面白かった。
温度はぬるめで「温水プール」という感じ。浮いているコケは見ないフリをしましょう。
朝は全然人がいなかった石灰棚は、帰り(昼過ぎ)には観光客でいっぱい!
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狭い水路の水をせき止めて楽しんでいるトルコ人・・・。いいね、楽しそうでw
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食事はもちろん「ラム子の食堂(ロカンタ)」!


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トルコ人とご結婚された日本人女性のラム子さん(仮)が日本食を振舞っている、日本食レストランなのです!!
※「ラム子」というのは昔飼っていた羊の名前だそう。食堂をブログに書くことは了承を得てますが、本名は許可を取っていないので以下「ラム子さん」と書かせて頂きます。
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観光地のパムッカレはレストランも結構高く、ここの日本食とそれほど値段も変わらないので、「同じ値段なら日本食でしょう」と思う私はいつの間にか日本を出て1年が経っていた。
悩みに悩んで注文したのは親子丼。15リラ(525円)。
そしてラム子さんがサービスで出してくれたのが、、、「麦茶」。
こ、これはヤバい。
「日本食」を食べられる場所はあっても、「麦茶」はまず無い。
知っていますか、「お茶」の力の凄さを。
しかもね、「緑茶」って海外ではティーバッグなんかで売っていて意外と飲めるんですよ。(美味しくないけど)けどね、「ほうじ茶」と「麦茶」はなかなか無い。(日本に近いアジア圏ではあったかな。)
以前、紅茶の産地スリランカ・ヌワラエリヤで伊藤園の粉末ほうじ茶を飲んで「結局日本人は紅茶よりほうじ茶だ」ということを実感してしまった私。(記事)
目の前に置かれたグラスに波々と入った麦茶を見る。
グラスに鼻を近づけ、ワインでそうするかのようににおいをかぐ。
あぁ・・・麦茶である!!!
ひとくち、ゆっくりと、口に含む。
あぁ・・・麦茶である!!!
めりめりと体で、血で、麦茶を吸収しているのが分かる。
そりゃあ30ウン年飲んでるんだから、体や血の中に日本のお茶の成分も染みこんでるんだろうなぁ・・・。
そして親子どーーーんっヽ(*´∀`*)ノ
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あぁ・・・
これは完全に・・・親子丼である!!!
あぁ・・・おいしい。
私の体の一部は親子丼で作られているのかもしれない。
しかも七味まであるよ・・・。
七味もね、海外であるのは日本食レストランくらい。チリパウダーとかはあるけど、やっぱ七つの味のやつは無いし、全然違うんですよね。七味考えた人ってすごい。
トルコの宿はキッチンが無い場所がほとんどなので、自炊も出来ない。上に、米が食べられるロカンタ(食堂)は、おかず数品を注文するとケバブの倍くらいの値段になるのでそう毎日も食べられない。あぁ、やっぱり日本人は米なんだよなぁ~。
世界遺産だけじゃなく、パムッカレの村自体ものどかで結構好き。
観光地だけどすごく田舎だからか、子供達がハロ~ハロ~と声をかけてくれる。
ざくろが旬で路上や、一般家庭の庭でも赤い実がたくさんなっていた。
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レストラン近くの噴水ではカモやアヒルだかガチョウだか何かいっぱい泳いでいる。
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夜、宿の人が「バイクですぐだから夜景の写真撮りに行く?」と連れていってくれた。
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う~ん、今のカメラじゃゲレンデのナイターにしか見えん;
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翌日、次の町へ移動するバスは夜行だったので、またラム子のロカンタでご飯食べてから行こ~と、行く前に何気なくネットで「ラム子のロカンタ」を検索するとラム子さんのブログを発見。しかし、そこには数週間前にご主人が亡くなったとの報告が書かれていた。
ものすごく胸が締め付けられた。私の場合は身内では無いけれど、多分ラム子さんの100分の1くらいは気持ちは分かる。しかも、海外でって、、、。昨日のラム子さんはそんな素振りも見せず至って普通に見えた。
何か私にできることはないかと思ったけど、それは単純に食堂に行ってご飯を食べることだと思った。
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ラム子さんは今日も麦茶をつけてくれた。
「ご飯が足りなかったり、味が薄かったりしたら言って下さいね」
ホスピタリティーあふれる言葉。
ご飯はもちろん美味しかった。
何か声をかけたいけど、知らないふりをした方がいいかもしれない、でも海外で周りにトルコ人しかいない今、少なからず心細さは感じてるんじゃ・・・しかし何と声をかけたらいいのか分からず、そうこう迷っている内にお客さんがどんどん増えてしまった。
時間はあるのでココアを注文し、店にあった「スケバン刑事」1巻を読む。ドラマのイメージしかないけど、漫画はこんな感じだったのか。続きが気になる。
帰ろうとする頃には店内も落ち着いていたので会計を済ませ、「ブログ見ました。大変だと思いますが、体に気をつけて下さい」と、結局そんなありきたりな言葉を言うので精一杯だった。そう言うだけでも涙が出そうだった。
ラム子さんは「ありがとうございます」と微笑んだような、悲しそうな顔をした。
日本人観光客が減っているしお店は今後どうするんだろうと思って聞いてみると、観光客は減ったと言えどお客さんは毎日来るし、ワンコさんもいるし、暫くはこのまま続けるとのこと。確かに私が食べに行った時も日本人はいなくても、韓国人や欧米人のお客さんがちゃんといたので少し安心した。海外で美味しい日本食が食べられる場所というのは少ないので、出来れば続けてほしいなぁ・・・と思う。
帰り際、「あっこんなのしかないけど!」とミネラルウォーターを1本手渡してくれた。いやいや、貴重な麦茶も頂いている上にありがたい。
何とか早く、トルコ情勢が落ち着いて、観光客が戻って欲しいなぁと心の底から思った。
※ラム子の食堂の場所は中心部からすぐ。パムッカレ社(バス会社)の隣り。小さな村なので誰かに聞くとすぐ分かります。
次回はいよいよトルコ最終目的地、イスタンブール。

マルマリスからパムッカレへの行き方

①マルマリス 9:30発~デニズリ 13:00着
バス(パムッカレ社) 3時間半 40リラ
※メトロ社の方が30リラと安かったけれど、朝の便が満席だったので。ただパムッカレ社はバスもきれいで、電源、WIFIも使えた。
②デニズリ 13:15発~パムッカレ 13:35着
バス 約20分 3.5リラ
※乗り場はエスカレーターを降りて地下(?)に行ったところ。パムッカレには中心部のメトロ社オフィス近くに着いた。

パムッカレの安宿

「HOTEL DORT MEVISIM(ドルト メヴシム)」
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ドミトリー?:朝食付24リラ(←30リラから交渉)
WIFI:あり(部屋可)
設備:ホットシャワー、ファン、レストラン、プール
行き方:バス停から徒歩10分。
その他:Booking.comで予約可能。2つ星ホテル。奥さんにはまぁまぁ英語が通じる。周辺は何もない。
宿泊日:2016.10.4~2泊

コメント

  1. ふみえ より:

    外国で麦茶が飲めたなんて最高だったね!!
    トルコに行った際には絶対行きたいお店に決定やわ!!

  2. >ふみえさん より:

    お久しぶりで~す!ぜひぜひ!
    久々の日本食&麦茶だったのでかなり癒やされました~(*´∀`*)
    しほ

  3. えでぃ より:

    ここ、自然も遺跡も温泉も旨い飯屋もあってすごくイイネ トルコを安心して自転車で旅できる日がくるといいなぁ。

  4. >えでぃさん より:

    確かにここ自転車でのんびり走るにはいい所ですよ~。田舎な感じがまた♪
    しほ

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