先週ですが、こえび隊(瀬戸芸ボランティア)で香川県三豊市詫間町の「粟島(あわしま)」に行ってきました。
粟島は今期2回目の訪問で、前回はディン・Q・レさんの作品制作のお手伝いでしたが、今回はムニール・ファトゥミさんの作品受付を担当することになりました。
前回の記事はこちら。
この日はスタッフの方がぜひ皆さん自身も楽しんで下さいと、結構時間をくれたので、他の作品も沢山見ることができました♪
全部は回れませんでしたが、一部紹介します。
小学校がまるまる作品!「過ぎ去った子供達の歌」ムニール・ファトゥミ
今回私が受付担当となったアート作品です。
廃校になった粟島小学校が、丸々全部アート!かなり規模が大きいです。
教室ごとに、違う空間になっているという雰囲気。
世界地図がある教室で、なぜかアフリカだけの地図も飾られていたのですが、国名や国境が今と違う国もあったりしてなかなか楽しいです。
製作者のムニール・ファトゥミさんがモロッコの方なので、アフリカだけ飾ったのかも?
アート作品もいいのですが、学校自体入ることが久々なのでただただ「懐かしい」。
校長室のこの雰囲気も。色々思い出しますね~。
そういや昔、校長室にキノコ投げ入れたな~とか・・・今思えばキノコっていうのが田舎くさいな。。。
廃墟好きとしては、廃墟は手つかずが一番のアートだと思っているのですが、このハードルは周りの雰囲気と合っていて好きです。
メッセージとしては、手前が現在、奥が未来、大人になるほどハードルが上がっていくよ、ということだそう。
このハードルはちょっと隠れアートというか、分かりづらい場所にあります。
廊下の先に太鼓を見つけたら、その奥まで行ってみて下さいね。
音楽室からは屋上に上がれるのでお忘れなく。景色も眺められます。
「私には春がなかった、夏がなかった、今はもう冬だ」
こういうメッセージがいくつかあるのですが、私はこれを見て「小泉進次郎が言いそう~笑」などと思っていたのですが、とあるお客さんが「あれを見て世界の子供たちのことが思い浮かんでガツンときました」的なことを力説され、自分のアートに対する理解力の無さを恥じました(;´∀`)
瀬戸芸の春会期は作品制作しかしていなかったので分かりませんでしたが、受付をしていると色んな人の色んな感じ方・反応が見れてすごく面白いです。
4時8分で止まっている時計の謎?
受付をしていると、作品のコンセプト等をよく聞かれるのですが、ここで断トツに多かった質問が「何で時計が全部4時8分で止まっているんですか?」
校内には時が止まった時計が沢山あり、その全てが同じ時間、4時8分で止まっているんです。
非常に残念ですがディオは関係していません。
受付スタッフをする際には、作品説明や日報が渡されます。それによると「粟島小学校が廃校手続きをした時間と言われている」とありました。
が、長くここの受付を担当しているスタッフの方に
「校長室の時計が4時8分で止まり、他の教室を見ると全ての時計がたまたま同じ時間で止まっていた・・・というコンセプトもあるらしいですよ。」
と言われ、更に混乱(゚∀゚;)
まぁ詰まるところ表現したいのは「時が止まった空間」であり、4時8分というのは廃校手続きをした時間とか、たまたまとか、まぁそういうことみたいです。
説明が難しく、説明する人によってはお客さんが「えっ!?怖い!聞かなければ良かった!」と無駄に怖がらせてしまいます。
まぁ、実際そんなことはあるわけないので、まぁちょっとファンタジーなくらいに思って頂ければ。あの時怖がらせた方ごめんなさい;
このアートは1階、2階、屋上、とまぁまぁ規模が大きいので、時間に余裕を持って観に行って下さいね♪
あと、よく聞かれたんですが、小学校にトイレはありません。近くにも無いので、必ず粟島芸術家村(中学校)か、ル・ポール粟島で行っておきましょう。
「過ぎ去った子供達の歌」ムニール・ファトゥミ(aw07)
開館時間(瀬戸芸会期中)9:40-16:30
休業日 会期中無休
料金 300円 ※15歳以下無料
洞窟のような海底のような、不思議な空間に魅了される「粟島芸術家村」
個人的に粟島で一番好きなアートです。こちらの作品は大小島真木さんの「生命のスープ」と、マユール・ワイェダさんの「始まりの洞窟」の合作。
旧粟島中学校の、小さな部屋一室がアート作品となっています。
薄暗い照明の中に浮かぶ鯨の骨に見立てたオブジェは、まるで海底にいるかのように思わせ、土色に塗られた壁一面に書かれた細かな壁画はまるで洞窟にいるかのように思わせ、気づけば鯨の周りを何度もぐるぐると周遊していました。
部屋の中心にある鯨のオブジェは、大小島真木さんの作品。彼女はかつてフランスの海洋調査船に2ヶ月半乗船し、海に漂う鯨の亡きがらを目の当たりにし、命の循環を実感した作家。
粟島にも昔鯨が漂着したことがあり、そこからインスピレーションを得て作品づくりをしたそうです。
鯨の心臓部はサンゴの刺繍。骨部分は布と、石膏だと思っていた部分は実は紙!
刺繍は島民の方々との合作です。
壁一面に書かれた壁画もすごい!
これらの壁画は、インドの少数民族ワルリー族であるマユール・ワイェダさんを含むワルリー三兄弟によって書かれたもの。
「壁画」と言いながらも「描いた」ではなく「書いた」と表記しているのはあえてです。以下は新聞のインタビューに応じたマユール・ワイェダさんの言葉。
私たちは独自の言葉はあるが、文字は持っていない。だから絵は描くのではなく、『書く』と言う。文字の代わりに後世に伝えたい物語や教訓を壁画に書き残してきた。(引用:四国新聞2019年9月14日)
古代アートを思わせる、美しく、繊細でいて力強い。じっくりと魅入ってしまいました。
一番背の高いイケメンがマユールさん。前回来た時にいらっしゃたので少し話したのですが、本当に日本語がぺらぺらすぎて驚きました。日本には作品制作のために5月から滞在しているとのことでしたが、前も長期で滞在していてそれで覚えたそう。写真よりもイケメン笑。
校舎の方にも他の作品が沢山あるので、結構見応えがありますよ。
「粟島芸術家村」大小島真木、ワルリー3兄弟(aw04)
開館時間(瀬戸芸会期中)9:40-16:30
休業日 会期中無休
料金 300円 ※15歳以下無料
海の漂流物で想像しよう「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」日比野克彦
粟島海洋記念館研修棟(旧粟島海員学校教室)の中には、海にまつわるアートが散りばめられています。
施設の中は部屋ごとに作品があり、大小島さんの鯨アートも見ることができます。
作品もさることながら、私は明治30年(1897年)に建てられたこの建物の雰囲気がすごく好き。
外の風景が透けて見えるこの作品が面白かったな~。
「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」日比野克彦(aw01,03,05)
開館時間(瀬戸芸会期中)9:40-16:30
休業日 会期中無休
料金 600円(aw01,aw03,aw05の3作品をあわせた料金)※15歳以下無料
古民家とカラフルなラグの調和が可愛い!「この家の貴女へ贈る花束」ディン・Q・レ
「フォうどん」を販売している場所にある、ベトナムのアーティスト、ディン・Q・レさんの作品。
ディン・Q・レさんは別の場所に「ナイト&デイ(人生は続く)」という作品もあり、そちらは有料ですが、こちらは無料で鑑賞することができます。
※「ナイト&デイ(人生は続く)」は映像作品なのですが、私が行った時は故障中で観ることができませんでした;
「この家の貴女へ贈る花束」は、制作時にボランティアで携わった作品なので、やはり他のものより少しだけ思い入れがあります。
制作過程の記事↓
別のお客さんが、このラグを見て「これ作るの大変やったやろうな~!何人くらいで縫ったんやろー?」と呟いていましたが、夢を壊すようでアレですが、丸いラグ単体は工場発注です笑。
ラグをつなぎ合わせるのも、縫っているのではなく接着テープです(゚∀゚)
まぁ色合わせは大変だったでしょうが、そこを決めるのは作家さんなので。
でも特に女性のお客さんには評判が良かったので、嬉しかったです。子どもがラグの上でゴロゴロしているのも面白かった。うん、うん、やりたくなるよね~♪
「この家の貴女へ贈る花束」ディン・Q・レ(aw08)
開館時間(瀬戸芸会期中)9:40-16:30
休業日 会期中無休
料金 無料(「ナイト&デイ」は300円)
写真に撮るとまた面白い不思議な空間「思考の輪郭」エステル・ストッカー
「つまづかないように気をつけて下さいね」と声をかけてくれるのですが、まぁ足の小指打ちましたよ( ;∀;)
出っ張りが多いので、子どもは特に気をつけて下さい。
入って右手と左手に小部屋があるのでお忘れなく。
そっちの部屋の方が写真が撮りやすいかもしれません。
ちなみにこちらは、一番最初に書いた小学校近くにある作品なので、小学校の屋上からも見えますよ。
「思考の輪郭」エステル・ストッカー(aw06)
開館時間(瀬戸芸会期中)9:40-16:30
休業日 会期中無休
料金 300円 ※15歳以下無料
過去と未来をつなげる海の中の永遠の時間「SOKO LABO」
粟島港から少し離れた西浜海水浴場にあるアート作品。
徒歩15分くらいかかりますが、港からは無料のミニバス?のようなものが発着しています。
時刻表は港で確認してみて下さい。
このアートは夕暮れ時がきれいなので、それに合わせて観に行く方もいました。
「SOKO LABO」菊地良太他(aw05)
開館時間(瀬戸芸会期中)9:40-16:30
休業日 会期中無休
料金 無料
※受付が無いので、時間外でも多分観れると思います。
★おまけ★くじらの鬼瓦を探そう!
「SOKO LABO」を観に行く道中、気になる看板を発見。
こちらは瀬戸芸とは関係なく、島民の方が個人的に紹介したい!と取り付けた看板です。
どんな鬼瓦なんだろうと細道をてくてく歩くと、「くじらの尾!頭までもう少し」的な看板が足元に現れ、上を見上げると。
これは珍しい~。くじらの尾ひれの瓦です。
そこから更に頭の鬼瓦を求めて歩いたのですが、目の前にあるのは山のみ。
一体どこにくじらの頭が・・・?
と、立ちすくんでいると、同じように看板を辿ってきた一人の男性もまたキョロキョロと辺りを見回し、私と目が合い、お互い
「一体頭はどこに・・・?」
ここでその男性が一つの考えを。
男性「きっとあの山がくじらの頭って意味じゃないですかね?」
私「えっ・・・あの山が?」
あの山↓
男性「ほら、あっちが頭でこっちが尾って感じで」
私「・・・それ、何かアートな環境に洗脳されてません?」
男性「・・・かもしれません」
そんなこんなでぼや~っとしたまま帰ろうとすると、島民のおじさんとすれ違い、「くじらの鬼瓦見つけれたんか?」と聞かれたので、頭が分からなかったと言うと、案内してくれました。
尾ひれと反対側にあったので、少し考えたら分かったことなのに;
おじさん「昔、粟島でくじらが打ち上げられてな、珍しいし、始めは島で保管しようっていう話やったのに、研究者が来て東京かどっかに持って行ってしまったんや。くじらがおらんのでは寂しいし、忘れんように、瓦にしたんや。」
なるほど~。何か当時の島の人々がくじらに熱狂したのが想像できるな~。
私「詳しいですね!この家の方なんですか?」
おじさん「いいや、違う。」
違うんか~い。
他にも楽しみいっぱい!粟島観光
粟島には瀬戸芸アート以外にも見どころがあります。
漂流郵便局
粟島にある漂流郵便局は、手紙を出したいけれど、宛先が分からなかったり、故人だったり別れた恋人だったり、「送りたいけど送れない手紙」が集まる郵便局です。
漂流郵便局宛てにハガキを出せば、ここで保管してくれます。
日本郵便とは関係のない「アート作品」なので、ここに行けば送られてきたハガキも読むことができます。
こちらは2013年の瀬戸芸アート作品で、当初は会期中の1ヶ月だけの開局予定でしたが、会期後も多くの手紙が寄せられたため、制作者の久保田沙耶さんが漂流郵便局を継続することを決め、現在に至ります。
開局日:毎月第2、第4土曜日 13:00~16:00
瀬戸芸期間中開局日:土日祝 9:30~16:30
会期中入場料:300円 ※会期外は無料
三豊市ホームページ「漂流郵便局」
フミヤベンチ
藤井フミヤさんは2度粟島に来たことがあるそうで、その時に座ったベンチだとか。
ヤドンのマンホール
何かね、「ヤドン」と「うどん」の語呂が似てるからって、香川県でやたらヤドンイベントしてるらしいですよ。
このマンホールのデザインも、これは三豊市のデザインで、市町村ごとに違うんですってー。
ブイブイアート
島のお母さんがブイを使って作ったアート。島の色んなところにあります。
藤井フミヤさんが作ったブイアートもあるので、探してみて下さい。
時間があれば城山(じょうのやま)に登るのもおすすめです♪
粟島への行き方は前の記事でも書きましたが、ここでも一応同じの掲載しておきます。
香川県三豊市「粟島」への行き方
香川県三豊市詫間町にある粟島は、荘内半島にある「須田港(すだこう)」からフェリーで約15分。
フェリーの時刻表はこちら。
三豊市公式ホームページ|粟島汽船時刻表
瀬戸芸の秋会期中のみ、本島と高見島を繋ぐ便も出るので、島巡りをする方は要チェック!
瀬戸内国際芸術祭2019公式ホームページ|西の島フェリー時刻表
フェリーには要予約で1台のみ車を乗せれますが、島内は徒歩で大丈夫です。
車で行く場合
★注意!須田港の駐車場★
瀬戸芸会期中は少し離れた場所に無料臨時駐車場が設けられていて、そこから無料シャトルバスに乗って港へ向かいます。
臨時駐車場:香川県三豊市詫間町詫間2112-75
電車で行く場合
JR予讃線「詫間駅」から港まで、会期中のみ無料シャトルバスが発着しています。
詳しくは三豊市ホームページで。
粟島には「コンビニたけうち」や飲食店が数件がありますが、会期中は最低でも飲み物くらいは持って行くことをおすすめします。
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